射撃と老眼

筆者は屋外の射撃が好きで、屋内レンジは普段はほとんど利用しないのだが、今回久しぶりにLAのダウンタウンにある屋内射撃場を夜間に利用した。 
その時初めて、暗い場所における射撃で、老眼が予想以上に深刻な問題であることに気づいた。

射撃には、正確な照準が大変重要だが、銃の照準は、遠方の標的と、銃身の先端にある照星と、後端にある照門の3点を一致させなければならない。

また、人間の目は、焦点を一箇所しか結べない構造なので、照準するには、目の焦点を照星に合わせ、この照星を標的に重ね(標的はボンヤリ見える)、照門(こちらもボンヤリ)の位置を調整して照準することになる。
そこで問題になるのが老眼で、遠方の標的を視認するのはさほど気にならないが、手元のピストルの照星と照門が見えづらく、また照星と照門にとり付けられた照準用の白丸はほとんど見えない。

写真左:これはBeretta-92Fで、照星に白丸一つと照門の両サイドにそれぞれ白丸が一つずつ付いており、これを三個一列に並べて照準する。正確ではないが勘で照準できた。 
写真左:こちらはSIG P-226で、照星には白丸一つ、照門には中央に下半分の白丸が一つ。 照星と照門の白丸を重ねて一つの白丸にすることで照準する。 白丸が一つでしかも半分なのでまったく見えず、勘にも頼れない。

そこで手元の照星と照門を見るために、老眼鏡を使用すると、今度は遠くの標的がぼやけて見えなくなり、かえって誤射の危険が高まる。
筆者は、40代に入った頃から、夜間の運転時に地図が見づらくなり、45歳くらいから老眼鏡のお世話になっている。
ご存知のとおり老眼とは、年齢とともに目の水晶体による遠近の焦点調整機能が低下し、近くのものが見づらくなってくる現象だ。 明るい場所ではさほど不自由は感じないが、暗い場所ではガックリ視力が落ち、老眼鏡を使用しないと細かい文字などは判読できなくなる。

交番やパトカーで治安の最前線に立つ警察官の中には、筆者と同年代かそれ以上の年齢の警察官も多く見かける。勤務年数とともに豊かな経験を積み、優れた判断力やバランス感覚等に富む、頼りがいのある年代である反面、加齢に伴う肉体的な衰えは避けられないので、これを訓練や装備の充実で補強していくことが大切だろう。
少なくとも中高年の射撃訓練には標的や射場の照明を落とし、または逆光や点滅等の悪条件下で射撃を繰り返すことで、視力低下を補う「勘」を養うことが必要だと感じた。

以前筆者が訓練を受けた、米国ネバタ州のFront Sight Firearms Training Institute(フロントサイト射撃訓練研究所)では、上級コース向けに夜間の射撃訓練(手探り状態でマガジン交換、排莢不良の処理目測による照準・射撃)や、利き腕を負傷した場合に備えて左手(非利き腕)による応戦等の訓練プログラムが用意されていた。

また、アメリカでは、このような肉体に起因する問題を装備品で解決するため、トリチュウム発光体を使用したナイトサイトやドットサイトなどを活用している。
なかでも、ダットサイトは非常に優れもので、銃身の軸線上に視線を合わせると、照準機のレンズに明るい輝点(ドット)が表示される。 標的をレンズ中央の輝点に重ねるだけで簡単・正確に照準できる。
通常の照準機(アイアンサイト)のように、片目をつぶる必要が無く、両目を開けたまま照準できるので、射撃中でも視界が広く保て、攻撃・防御ともに非常に有利である。
資料:軍用望遠スコープ・照準器

ダットサイトは拳銃にも使えるが、MP-5等のサブマシンガンやアサルトライフルに最適で、遠距離・広視界の中から即座に、ピンポイントの射撃ができるので市街戦では必需品のようだ。

最後に
射撃と老眼の問題について、遠近両用の老眼鏡を使用することで解決できるのではないかとも考えられるので、近いうちに実験することにします。

 

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