防弾規格 NIJ-Ⅲ(米国)とEN-B6(欧州)の違いについて

NATO30口径弾(308WIN)やM16用アサルトライフル弾(M855)は、いずれも銅合金のジャケットと鉛芯の構造だが、M855は弾頭にブランクコア、弾芯に特殊なスチールチップを組み込んだ徹甲弾の一種だ。 しかしその実態をあまり知られていないため分類は、通常弾とされている。 弊社で実際にM855を使って貫通試験をしたところ、防弾鋼板や防弾ガラスでは、スチールチップの効果はほとんど感じられなかったが、防弾ヘルメットや旧式の防弾ベスト用トラウマパネル、ヘリコプター、高速ボート、防弾自動車用等で使用されている繊維系軽量防弾パネルは簡単に貫通し、貫通能力の顕著な向上が認められた。

米軍は、M855をイラクやアフガニスタン等の紛争地域に限定して使用している。 また国内でも一般販売は規制されており、警察などのLowenforcementに使用は限定されている。 しかし、他の国や共産圏諸国でも対抗製品を生産するだろうから、いずれギャングや海賊がこの種の弾丸を撃ってくることは、覚悟しておく必要がある。 
なお、繊維系軽量防弾パネルの貫通を防ぐには、徹甲弾対策と同様にセラミックを組み込んだコンポジット化で、軽量で高度な防弾性能を発揮するが、価格が高騰するのが問題だ。 ちなみに米軍の特殊部隊には、既にセラミックコンポジット製の防弾ベストが支給されている。

本題に戻るが、米国の防弾規格NIJ-レベル3(アサルトライフルクラス)では、308WIN(7.62X51mm)のみ耐弾性能が試験されるのに対し、EN-B6(アサルトライフルクラス・欧州)では、更に米軍のM855(スチールチップ徹甲弾)への耐弾も求められる。 したがってNIJ-Ⅲ(米国)とEN-B6(欧州)は、同一レベルではない。 一部の防弾素材のうち、旧式の防弾ベスト用トラウマパネル、ヘリコプター、高速ボート、防弾自動車用等で使用されている繊維系軽量防弾パネルに於いては、NIJ-Ⅲの耐弾能力を有していてもEN-B6の基準を満たせないケースが生じるので、業界では誤解を防ぐためENI規格による表示が主流になりつつある。