9ミリ自動拳銃の比較 LA郊外の射場にて

ロサンゼルス近郊の屋外射撃レンジにて、4種類の9ミリ拳銃の操作性等の試験を行った。銃は、グロック17 グロック19 SIG-226 ベレッタ92F 。

今回は、標的撃ちではなく、4丁の9ミリ自動拳銃を適宜交換しながら、手になじみ、使いやすく、肉体的、精神的、生理的、に自分と相性のよい銃を探す、お見合い系の試験を行った。
銃はすべてレンタルを使用したが、さすがにローカルの銃砲店も兼ねたガンクラブなので、ホテルロードの観光客相手の射的場と違い、ほとんど新品で手入れも良好であった。
また、トリガーがすべてノーマルで、事故防止のためにやたらと硬くしてないのが有難かった。

短時間で数を撃つことにしたので、無名メーカー製の250発入り9ミリパラが、たった○○ドルだったので、迷わずこれを2袋、500発買った。
無名メーカー品ではあったが、一発のミスファイヤもジャムも無く完璧に発射できた。
銃もグッドコンディションであった。

弾丸は、二人で500発、実際には筆者が300発、連れが200発ぐらいを、2時間位で撃った。

子供や女性客も多いせいか、射撃の標的もご覧のとおり賑やかなものであった。


お見合いの結果は、グロック19が抜群の相性であることが解かった。筆者の同行した友人は、米国在住日本人で、昨年末にピストル射撃の講習と試験を受け、既に所持許可証を交付されており、現在どんなピストルを購入するか検討中であった。彼は、今のところ銃に対して、ほとんどシロウト状態で、妙な偏見や偏った知識が無いだけに、どれを選ぶが私にとっても大変興味のあることだった。


結果はやはり予想通りで、グロック19に落ち着いた。大柄なブロンド美人より、小柄で可愛い(実は銃は小型化したぶんだけキックが強い)ヤマトナデシコ系を選んだ彼の好みは正しい。

日本人には、フルサイズよりやや小ぶりな方が馴染みがよい。特にSIGやBERETTAのような大型拳銃の、ダブルアクションはトリガーの引き代が深いため一般的な日本人の手のサイズでは、右手はやや人差し指が前に出るような浅い握り方になる。 また、マガジンリリースボタンに親指が届かないため、マガジンのリリース時と装てん後の発射再開時の二度、銃を持ち替えなければならず、銃を落とす危険やタイムロスなど無視できないハンデを背負うことになる。その点では、やはりアジアマーケットを狙って開発されたグロック19は、日本人にぴったりのサイズだ。

ちなみに以前、別の射場で知り合った白人(不思議なことに、射場でアフリカ系やアジア系のアメリカ人を見た覚えがないが) のお客さんに、ベレッタを握ってもらって観察したことがあるが、なんと彼らは、トリガーに人差し指を掛けた状態で、難なくマガジンリリースボタンを押すことができた。
やはり、日本人より掌の大きさと指の長さが違う、2~3cm 位は長いようだ。

さて、私の友人は、グロック19が気に入ったようだが、このピストルには安全装置がついていないから危ないと、突然ノタマワッタのであった。これでは普段持ち歩いている時に、何かの弾みで引き金を引いて暴発するのではないか心配だとのこと。確かに銃身の後ろのあたりについているはずの、お約束事の安全レバーがグロックには付いていないのだ。    
ほとんどのオートマチック拳銃(SIG BERETTA FN H&K トカレフ マカロフ等々)は、多少の違いは別にして、基本的にはコルトガバメントのコピーだ。皆同じような位置に同じようなレバーがあり使い方も同様だ、そういう思い込みで、グロックを見ると、確かに安全装置が見あたら無い。ガバ系と異なる思想で作られたグロックのセフティ装置は、充分な解説なしではシロウトさんには理解できない。

まずその前に、「暴発」とは何か、ということから頭の中を整理しなくてはいけない。日本語は語彙が豊富で豊かな表現ができる反面、あいまいに表現をぼかすのにも適している。銃などの武器は、科学と物理の法則だけに支配される世界なので、感情や情緒的なあいまいな要素を排除しなければ、本質は語れない。  
したがって、誤って引き金を引いて銃弾を発射したことを「暴発」というのは不適当である。故意か不注意かは別にして、またどこに発射されようと、引き金を引いて発射されたものはすべて「誤射」という。また、味方や人質などを、相手を間違えて撃つことも誤射という。



「暴発」というのは、引き金を引かないのに、弾丸が発射されたことをいう。 たとえば装てんした銃をコンクリ床などに落としたために発射した場合 (現代の銃ではあり得ない。西部劇時代の拳銃ではよく起きたらしい)、 また機関銃などで、銃身が焼けて熱で装薬が発火し発射がとまらなくなる現象などである。また藪などで小枝等が引き金に当たって発射した場合は、暴発かもしれない。したがって、前述の誤って引き金を引いて発射したことは「暴発」ではなく、「誤射」である。それでは、安全レバーのついているグロック以外の拳銃は、誤射が起きないか、答えはNO 。いずれも同じ様な確率で、誤射事故は起きる。 
何故か、という説明は両方の拳銃の基本構造まで説明しないと理解できない部分が多いが、あえて簡単に言うと、グロックで誤射を起こす射手は、他の自動拳銃でも同じように、不用意に引き金を引いてしまうから、事故は同じような確率で起きる。

これらの自動拳銃を正しく使うためには、常にチャンバー(薬室)の状態を無意識のうちに把握し、安全レバーとトリガーを連携して操作することが大切で、そのためには訓練が重要である。 米国では、外勤警察官のリボルバーから通常型の自動拳銃への移行期に、誤射(暴発ではない)や安全レバーの不適切な操作による遅発、未発の事故が多発したようだ。 
だから、と断定はできないが、グロックのセフティシステムが高く評価され、リボルバーから自動銃に切り替える際に、グロックが採用されるケースが非常に増えたのは事実である。実際に米国で見かける警察官の自動拳銃は、10年ぐらい前はほとんどがベレッタだったが、その後はグロックが続々と増え続け、完全に逆転した。最近は、S&W M39もチラホラ見かけるようになってきたが、ベレッタはめったに見なくなって、トップシェアは断然グロックのようだ。

グロックには、従来の安全レバーが無く、代わりに二重構造のトリガーが組み込まれている。トリガーを引くと、最初に安全装置が解除され、さらに引くと撃発が起こり、弾丸が発射される。引き金を引かない限り、撃針は常時ブロックされ、暴発を防ぐ。この独特のユニークな設計については、大変興味深いテーマなので、改めて別のブログに記すことにする。

話は射場に戻るが、隣のブースの親子の客、このパパ何を思ったのか、突然5~6歳くらいの息子にベレッタを握らせて、自分の手を添えながら的を撃ち始めた。周囲のお客もビックリして見ていたら、射場の係員がすっ飛んできてやめさせた。いくらなんでも、銃社会のアメリカとはいえ小学校に入る前ぐらいの小さな子供にベレッタを撃たせるなんて、呆れて写真を撮るのも忘れた。 しかし絵的には、惜しいショットだった。


 
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