防弾ガラス Transparent Armor (透明なアーマー)

フロートガラス積層タイプ

この防弾ガラスは、旧タイプに分類されるが、フロートガラス(生板)に中間膜シートを加熱、接着した積層ガラスである。主にフラットガラスで使用される。価格も安くウォータージェットで自在にカットできるので非常に使い易いが重量が重いため、主に建物やトラック、バン等に使われる。ガラスを焼いていないのでガラスの表面が柔かく取扱に注意が必要である。また高速道路で飛石を受けてヒビが入りやすいのが難点である。

積層ガラス+ポリカーボネート貼り付けタイプ
ガラスを積層し更に内側にポリカーボネートを接着したタイプで薄くて軽く防弾性能も強力である。乗用車には原車と同様に球面に仕上げて使用する。製造工程は板ガラスをあらかじめ、球面に仕上るよう複雑なカーブでカットし積層枚数分を用意し、仕上がりの球面に合わせた治具に乗せ炉に入れ加熱し球面に成形する。成形された複数のガラスは、中間膜を幾層か重ね最後にポリカーボネートをバキュームで仮止めして、オートクレーブで加熱圧着し、複合材による積層式防弾ガラスが造られる。乗用車タイプの装甲車には不可欠の材料であるが前述のとおり大変多くの工程を要し、且つ歩止まりが悪いため価格は非常に高くなる。ポリカーボネートを使用した初期の頃は、デラミネーション(ハクリ)が生じるトラブルが多発したが技術改良と製造者の経験により改善されつつある。


防弾ガラスの比較表
タイプ
構造
価格
重量
加工
ウォーター ジェット
硬度
1.積層ガラス
生板ガラス+ポリウレタンの中間シートによる積層
中位
平板のみ
2.ガラス+ポリカ
加熱成形した板ガラスをポリウレタン中間シートで積層し更に裏面にポリカーボネートを積層
高い
1の2/3位
平板
球面板
不可



特殊な中間膜によりガラス層と内側にポリカーボネートパネル接着することで軽量且つ強力な防弾ガラスとなります。特に内側のポリカーボネート板により砕けたガラスの小片が室内に飛散することを防ぎます。

インパクト角度の影響
左の図から分かるように、インパクト角度の変化によって、パネルのブレット抵抗係数が変化します。テストは一般的に90度;すなわち最もインパクトの衝撃が大きい角度で実験されます。ガラスの長所とポリカーボネートの防爆性を結びつけたため、プラスティックやラミネートガラスに比べて、最も優れた透光性セキュリティパネルです。

 



防弾パネル Opaque Armor (非透明なアーマー)

金属性Armorの種類

A. 鉄(炭素鋼)

普通鋼より硬くさらにねばりのある鋼板を使用する。安く、加工性も良いが、重いこととサビが出やすい欠点がある。トラックやバン型装甲車には多用されている。またNIJレベルⅢ以上の場合、乗用車にも確実さを求めて採用する場合も多い。

B. 強化アルミ

防弾性を上げるには板厚が厚くなるので乗用車や現金輸送車等ではあまり使わない。またアルミの装甲材はライフル等のハイパワー弾を受けると、素材が分解し小さな破片として飛び散る現象が起きるため、表面にケプラー等の防弾繊維を張り合わせるなどして複合材にしないと危険である。軍用APCには大量に使われている。

C. ステンレス
  Sus 304

強度が普通鋼とあまり変わらないうえ、価格が高く使われていない。

D. ステンレス
  フェライト系
  マルテンサイト系

焼き入れの関係でコストが高い。また一般的には大きなサイズが造れないため、特殊用途として小型の楯やドアの内張等に少量が使われている。但し、軍用として戦艦や戦車の装甲材に多量に使われている。

F. チタン

比較的耐弾性は高いが、軍用の特殊鋼に比べるとやや強度不足である。そのため防弾板としては厚くしなければならず、重量増と板厚増に伴う施工性の低下等の不都合が生じる。サビが出ないメリットがある。

G. セラミック

軍用としてアメリカ、ヨーロッパで採用されている。軽量で防弾性能は優秀であるが、一般に入手は困難である。構造材としては使えず、防弾補強材としてタイル型の張り付けるタイプが軍用として使われている。

ファイバーアンドレジン(繊維と樹脂の複合材)アーマー
A. FRP
 (ガラス繊維)
入手・加工ともに容易で価格も安いが、防弾材としてはやや強度不足で、厚くなるので結果的に重くなる。建物やトラック、バン等に使われる。

B. ケブラー繊維
 (アメリカ)

米国デュポン社が開発した素材で、通常は樹脂を含浸しコンポジットとして使用する。耐熱摩耗性が強く防弾ベストやヘルメット、装甲車の内装・外張り等の軍用品に広く使われている。供給が安定し、比較的価格が低いことから広く軍用の定番素材として普及している。ボディーアーマーのうち樹脂で固めていないソフトタイプは1発目の着弾のショックで繊維が膨らんでしまい、2発目か3発目で貫通するといった欠点がある。
※当社でも実験済み

C. スペクトラ繊維
 (アメリカ)

米国アライドシグナル社(現ハネウェル社に合併)が開発した強力な繊維で最新式の防弾ベストやヘルメットに採用されている。長所は強度が高く、軽量で水に浮く比重である。短所としては、熱に弱く135℃で溶解してしまう。熱を発する場所や車輌の防弾材としては不適である。低温で使用される防弾ベストやヘルメット等の人体防御用の素材として最適である。

D. カーボン繊維

カーボン繊維自体の引張り強度は高いが、特性として衝撃に対しぜい弱で防弾材としては全く不適である。※既に当社にて実射テスト済み

E. ザイロン
 (日本)

ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)を液晶紡糸したスーパー繊維。鉄の10倍、アラミド系繊維の約2倍の引張り強度を持つ、耐熱性、難燃性が高く耐衝撃性もアラミドの2倍あり防弾材として耐火服としても大いに期待できる素材である。現在米国で防弾材として製品化され普及し始めた。




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